KLiSの兄です、図書館情報学について"真実"をお話します。

※タイトルは嘘です、真実じゃないです多分

まえがき

はじめまして、klis’23のmiyaです。klis Advent Calender 2024 16日目の記事になります。

klis2年目になっても未だにわかっていないある疑問についてです。最近特に関心が湧いてきてて、授業の一環として調べたのでそのことについて書きます。

その疑問とは、「図書館情報学って結局何なの?」 です。おそらくみなさんも同じような疑問を持ったことがある、あるいは誰かに聞かれたことがあるのではないでしょうか?

klisは、やれ文理融合だの学際性が~など宣伝されがち(で、そして自分はそれにつられて入学したわけ)ですが、実際、何を勉強しているのはよくわからないところでもあります。(注: 個人の感想です)そんな、「うちの学類、何やってるのかよくわからんな状態」を解消すべく作りました。

要するに、図書館情報学についての自分が知ってることをできるかぎり集めた感じです。

今後も追記したり訂正したりする予定です。もし間違いを見つけたらこっそり教えて下さい。

まえがき終わり

注意事項


余談2: 図書館情報学という名称と略称

図書館情報学は英語で Library and Information Science と言い、主に LIS と略されています。本稿でも適宜 LIS と略記することがあります。 昔は「情報図書館学」や、「図書館・情報学」などの表記もあったのですが 現在は「図書館情報学」で定着したそうです。1 (その名残からか、慶應大学周辺では「図書館情報学」のことを今でも「図書館・情報学」と書いている印象があります。)


余談3: klisという略し方について

余談の余談です。LIS と聞くと 「klis の lis の部分」と同じかと思ってしまいますが、実は違います。klisは知識情報・図書館情報を英語にした Knowledge and Library Science からきています。2 従って、ここでの lis は “Li”brary “S”cienceから取られています。そのためか公式の表記は KLiS の i だけ小文字にしたもの多い印象があります。なんかややこしいですね。

TOC

1. 図書館情報学の定義

ここでは図書館情報学とは何か、について言及しているものを色々取ってきて表にしました。見つけた順に乗せているので順番に特に意味はありません。

定義出典
図書館学に情報学が付け加わった研究領域.図書館学が中心とする図書館にかかわる諸現象,具体的には,制度,運営,書誌コントロール,資料,サービス,利用,それに施設などに加えて,情報やメディアの性質,それらの生産から蓄積,検索,利用までの過程を対象とする.図書館情報学用語事典 第5版 1
とりあえずの定義として,図書館・情報学とは「人間の知的活動によって生産された情報の諸側面を研究する学問」であるとしておく。図書館・情報学研究入門 3
情報学は研究領野のひとつであり、その関心対象は記録された情報やドキュメンテーション活動であり、ドメイン分析の観点から、情報のコミュニケーション連鎖を構成する各要素に焦点を当てて研究するものである。図書館情報学概論――記録された情報のちから 第2版 4
本書では、情報学とは社会における情報交換に関する研究であると規定する。情報学の理論と実際 5

LIS? IS?

上の定義は、「図書館情報学」だけでなく「情報学」とは何かについての言及も掲載しています。一般に情報学というと図書館情報学よりもむしろ情報科学を連想するのではないでしょうか。それついて以下で少し補足します。

結論としては、上記の「情報学」は全て「図書館情報学」を意味しています。というのも、海外では、情報学(Information Science;IS)はもっぱら図書館情報学(Library and Information Science;LIS)を意味しているからです。(逆に日本語での情報科学に近い言葉としては、コンピュータサイエンス(Computer Science;CS)やインフォティクス(Informatics)が対応しているといえます。6

各説明に対する簡単なコメント

図書館情報学用語辞典 第5版 の定義

多分これが一番オーソドックスな説明だと思います。歴史的に図書館学から始まって、それから情報学が生まれて合流する感じ。 ただ個人的には、説明が図書館図書館しすぎてるのがちょっと気になります。

図書館・情報学研究入門 の定義

本書はオムニバス形式になっています。その中から緑川先生の「図書館情報学入門の入門」という章から引いてきました。なので本書全体がこの定義に従っているというわけではありません。緑川先生は、物理学者である朝永振一郎がエッセイで述べた物理学の説明に倣い、このような記述をしています。実際間違ったことは言ってないし簡潔にまとまっているという印象があります。LISが扱う情報は人間が生産されたものに絞っていいのかという点や、情報の諸側面ってもっと説明が必要そうな点が気になります。

図書館情報学概論 第2版: 記録された情報の力 の定義

図書館情報学についての疑念とそれに対する応答

図書館情報学研究者

図書館情報学にまつわる参考図書

ここでは図書館情報学の発展に深く関わる思想家・学者・研究者を広く紹介します。主観的な選定であり、ここにおける掲載の有無が、その人物のLISにおける重要性には必ずしも直結しません。あくまで、自分がLIS関係で見知ったことのある人物を列挙しているにすぎません。

その他の情報源

以下は、手当たり次第に図書館情報学について知れるソースを列挙していきます。 整理するのがめんどうになってきたのでこうなりました。ごめんなさい。

かたつむりは紙の本を夢見つづけている (min2fly) - ブクログ klisOBにして現在同志社大学で図書館情報学を教えている先生のブログおよびブクログ ブクログはなんとLIS関係の書籍のレビューが300冊以上も見られる!(そんなにLIS本ってあったんだ…) ただし、最近の更新はない点は少し注意。 ちなみに今月刊行される先生の新刊『図書館を学問する なぜ図書館の本棚はいっぱいにならないのか』


以上

Footnotes

  1. (日本図書館情報学会用語辞典編集委員会, 2020) 2

  2. 参考: 筑波大学 情報学群 | 知識情報・図書館学類

  3. (三田図書館情報学会, 2005)

  4. (デビッド・ボーデン & リン・ロビンソン, 2024)

  5. (Vickeryほか, 1995)

  6. (Ukiyojingu, 2024)